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聖歌は生歌

聖歌は生歌

復活の主日 復活の聖なる徹夜祭 光の祭儀

  聖土曜日の日が暮れると、教会の典礼暦は、復活の主日に入り、「この夜」教会は、徹夜しながら主の帰りを待ち
望み、盛大に復活徹夜祭を祝います(典礼注記1)。この祭儀は、日没後にはじめ、夜明け前に終わらねばなりませ
ん(典礼注記3)。また、深夜以前に行われても、復活の主日の祭儀です(同)。以前、この祭儀は、聖土曜日の典
礼と思われていましたが、これは誤りで、聖土曜日には、ミサ(感謝の典礼)は行われませんから、あくまでも、復活
の主日の祭儀であることを忘れないようにしてください。

【第一部 光の祭儀】

 341 キリストの光
 さて、祭儀の前、聖堂外に集まった一同は、司祭による火の祝福と、ろうそくの祝福(任意)のあと、復活のろうそく
を先頭に聖堂に入ります。助祭(または司祭)は、行列の最初・聖堂の入り口・祭壇前の三箇所で「キリストの光」と
歌い、一同は「神に感謝」と応唱します。この招詞は都合、三回歌われます。オルガニストは
 1回目 F(ファ)-D(レ)
 2回目 G(ソ)-E(ミ)
 3回目 A(ラ)-Fis(ファ♯)
 と、助祭(または司祭)に音を出してゆきます。
 これで、三回目のFis(ファ♯)を半音下げて、F(ファ)にすると、D(レ)-F(ファ)-A(ラ)となり、そのまま、342 
復活賛歌へと続けることができるのです。ちょうど、203 あわれみの賛歌から204 栄光の賛歌へ進むのと反
対になるわけです。
 一回ごとに音が高まってゆきますので、キリストの復活とそのシンボルである光をたたえて、「神に感謝」するわた
したちのこころの思いに合わせて、音の量も上げて行きましょう

 342 復活賛歌
 全員が聖堂に入ると、助祭は司祭から祝福を受け、それ以外は、祝福なしに、復活賛歌が歌われます。ラテン語で
は、Exsultet iam Angelica と始まる復活賛歌は、4世紀以来、助祭の晴れの舞台とされてきました。歌詞(テキスト)
も各地でわずかながら異なったものが作られてきました。グレゴリオ聖歌では、途中のあいさつと最後の「アーメン」
以外、すべて助祭が一人で歌いますが、日本語の『典礼聖歌』では、要所要所会衆が参加できるように作られてい
て、会衆の行動参加という点からは、高い評価を受けています。なお、助祭や司祭が歌えない場合には、信徒も歌う
ことができますが、その場合、「主は皆さんとともに」~のあいさつの部分は必ず省きます。
 さて、『典礼聖歌』の復活賛歌は、大きく分けて4つの部分からなっています。

あいさつの前まで。復活の喜びを世界にのべ伝える部分。助祭と会衆の応答。
あいさつの後。神とキリストによる過越しの叙述。叙唱と同じ構造。助祭の独唱。
「この夜」で始まる4つの部分。過越しの夜の叙述。会衆の賛美。
以後、最後まで、過越しの叙述。神の愛による罪の清めと、ろうそくによる、キリストの光の賛美。助祭の独
唱。最後は、栄唱と同じ構造による。

 この、4部構成は、グレゴリオ聖歌の Exsultet iam Angelica とほぼ同様で、グレゴリオ聖歌でも、第1部分は、低
いD(レ)から高いD(レ)まで、1オクターヴの間で音が動きます。『典礼聖歌』の場合も、ほぼ同様に音が動きます
が、旋律で音が動く範囲と使われている音は、ミサの式次第の音と同じ〔低い音からD(レ)-F(ファ)-G(ソ)-A
(ラ)-B(シ♭)-C(ド)〕です。
 あいさつの部分は、グレゴリオ聖歌の場合も、『典礼聖歌』の場合も、ミサの叙唱前句と同様で、ここから、奉献文
と内容、音楽ともに同じ構造になっていることが分かります。
 第2部分は叙唱と全く同じ構造です。
 第3部分は、高音部のテトラコルデ〔G(ソ)-A(ラ)-B(シ♭)-C(ド)〕で会衆が歌う部分です。「この夜」のアウ
フタクトを生かすために、オルガンは八分音符一拍早く入ります。「この夜」は(-)テヌート記号が付されていますの
で、一音ずつ力強く歌いますが、その後は、倍以上位の早いテンポで歌い始めます。ことばが多い分ていねいに、と
思いがちですが、反対で、ここで語られる過越しの夜の叙述は、早めに歌うことで、力強さも増し、ことばもよく味わえ
ます。
 第4部分は叙唱と奉献文をまとめたような構造です。最後の「人類を照らす光」からは、栄唱と同じ構造で、会衆も
力強く応唱に加わります。
 全体の、基本的な注意は、詩編唱や奉献文の歌唱と同じで、最初は早めに歌いだし、小節線の前で、ていねいに
おさめ、また、次は早めに歌い始めます。「この夜」の部分だけは、上に書いたとおりです。
【オルガン】
 オルガンは、冒頭から、この復活の賛美の歌声にふさわしいストップを使います。会衆の人数も多く、声も大きけれ
ば、プリンチパル系の8’+4’+2’場合によってはMixturも入れてみましょう。ペダルの16’+8’+4’を入れられる
とさらに、重厚感も増してきます。ただし、途中の対話句のところは、それぞれ、ピッチの高いストップを減らしたほう
がよいかもしれません。また、「この夜。~」の部分で、スヴェル(Swell)のリード管を、ボックスの開き具合を調整し
て加えるのも一つの方法です。いずれも、参加する会衆の人数や、ストップの強さを調整しながら考えてください。
 なお、復活徹夜祭の栄光の賛歌まで、オルガンを使わないというところもあるようですが、日本の場合は、このよ
うの制約は特にありません。教会の鐘については、主の晩さんの夕べのミサの典礼注記4で、栄光の賛歌のあと
「復活徹夜祭まで、教会の鐘は一切鳴らさない」ことが決められています。オルガンについては「四旬節には・・・・・歌
を支えるためだけに許される」(『ローマ・ミサ典礼書の総則』(暫定版)313)ことになっていますが、聖週間の間の
特定の期間に、全く伴奏をしてはいけないということにはなっていません。まして、復活徹夜祭は、冒頭にも書いた
ように、聖土曜日の典礼ではなく、復活の主日であり、主の過越・復活を祝う一年でもっとも盛大な祭儀ですか
ら、復活賛歌でオルガンを使うことは、ふさわしくこそあれ、伝統に反することなど全くありません。オルガンを使わな
いという考えは、復活徹夜祭を、復活の主日の祭儀ではなく、聖土曜日の典礼という、教会の本質的な伝統と異な
る誤った解釈によってなされたものと言えるでしょう。
 復活賛歌では、ぜひとも、主の復活をたたえるようなふさわしいオルガン伴奏をつけましょう。



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